人口ビジョンと合計特殊出生率の実現性

道内市町村の将来人口目標

2010年国勢調査 2040年 2060年
19、056人 30.5%減(13、240人) 45.7%(10、343人)

ちょっと古い道新の記事でしたが、道内の市町村で昨年10月までに地方版総合戦略を策定した道内72市町村のうち、2060年の人口が2010年と比べて増加すると目標を定めたのは上川管内東川町(旭川市の隣り)だけだったとの記事がありました。

合わせて上の「道内市町村の将来の人口目標」との表が掲載されています。すぐ下の表は同じパターンで砂川市の人口目標を作った物です。

砂川市も今、「砂川市人口ビジョン案」及び「砂川市まち・ひと・しごと創生総合戦略案」に対するご意見(パブリックコメント)を募集しています。

砂川市議会は昨年12月16日に総務文教・社会経済委員会の連合審査会を開いて審議しましたが、「砂川市人口ビジョン」によると下の図のような人口目標を掲げています。

<人口を維持する基礎となる「合計特殊出生率」の怪>

砂川市人口ビジョン目標

さて、この人口目標ですが、全国的にほとんどの市町村が合計特殊出生率を2.07(国の人口1億人を維持と同率の数字)を根拠としています。

本当にこの「2.07」は可能なのか非常に疑問を感じています。

「合計特殊出生率」とは女性が出産可能な年齢を15歳から49歳までと規定し、それぞれの出生率を出し、足し合わせることで、人口構成の偏りを排除し、一人の女性が一生に産む子供の数の平均を求めるものです。

その持つ意味は、死亡率が不変で、合計特殊出生率が高ければ、将来の人口は自然増を示し、低ければ自然減を示すことになるわけですね。

仮に、調査対象における男女比が1対1であり、すべての女性が出産可能年齢以上まで生きるとすると、合計特殊出生率が2であれば人口は横ばいを示し、これを上回れば自然増、下回れば自然減となります。

しかし、実際には生まれてくる子供の男女比は男性が若干高いこと、出産可能年齢以下で死亡する女性がいることなどから、医療技術や栄養状態が相対的に良好な現代先進国においても自然増と自然減との境目はおよそ2.07とされていると言われています。これが全国の自治体で目標としている「2.07」の正体です。

問題はここからです。現在の砂川市の合計特殊出生率は「1.30」

出生数と合計特殊出生率の推移

左の表を見ると、2.07は1970年代前半の第二次ベビーブームの頃の数字です。すべての夫婦が2人ずつ子供を持ってもまだ足りないことになり、独身女性が一人いるごとに、3人以上の子供を持つ母親がその倍多くいないといけない。大変な数字であるのです。

国も地方も人口減少に歯止めをかけなければならないと思う気持ちはよ~く分かりますが、ほとんど実現不可能な数値で将来を予測し、政策を立てることに不安を感じているのです。

長い文章になりましたが、お読みいただきありがとうございました。明日(19日)は「議会改革特別委員会」が午前10時から、21日は「総務文教委員会」が開催されますので、また報告します。